みかんとバナナみかんとバナナ
子供の頃 病気になるのが すごくうれしかった
病気と言っても たいていは風邪ひき で お熱ってパターン
食欲が無い時は まず 片栗粉でつくった 葛湯もどき
甘くて とろりとして 最後のほうが固まっていたりすると
スプーンでこそげて 食べたりした
その次の定番はリンゴのすったもの
どんどん 空気に触れて 茶色になっていくのが悲しかった（笑）
最上級に具合が悪いときは バナナ
今ではすっかり庶民の食べ物のバナナだけど
当時は高級品で 果物屋の陳列棚で いばっていたものだ
「わたくしに 手をだすのは百年早くってよ」
滋養があるということで 病気になると バナナだった
熱が高いときは バニラアイスが食べれた
本当はとてもつらいことなのに 病気が嬉しかった
家族は 入れ替わり立ち代り
「大丈夫か？」と声をかけてくれるし・・・
熱が下がり 体調が戻り始めると 淋しかった
いつのころから バナナはこんなに安くなったんだろうか・・
夏の終りから秋の始めに店先に並ぶ 緑色のみかん
見るからに酸っぱそうなみかん
それは運動会の思い出
秋の学校行事・運動会や遠足には かかせない果物
みどりのみかんと 不二家のパラソルチョコレートはいつもワンペア
行事の前には 母と商店街に出かけて
この二つを買うのが楽しみだった
大きなお菓子屋さんがあって 量り売りのお菓子がいっぱい
ガラスケースにはいっている おせんべいや カステラ菓子
壁面には ガラス瓶にはいったお菓子
普段は駄菓子屋で買って食べるおやつも
お正月や遠足･運動会などの 特別な時は必ずここだった
昭和の時代には使い分けがあった
それだけ まだまだ庶民の生活は貧しかったのか
一年中美味しいものが簡単に手に入る今は
しあわせ なんだよね？